りんごとみかんの交流学習ABC

 交流学習ができるまで

 このページでは、岩手県水沢市立水沢小学校の佐藤正寿先生が、静岡県細江町立中川小学校藤原学級とのりんごとみかんをテーマにした交流学習についてまとめたものです。交流学習にはじめて取り組む先生の様子がよく伝わってきます。

  「りんごとみかん」で本格的にスタートした交流学習

 交流校のみかん作りについてのビデオを興味津々で見る子どもたち。見てい る中で自分の伝えたいことが出てくる。さっそくパソコンルームで交流学習用 の掲示板に書き込む。その掲示板を見てみると、相手校からもりんご作りビデ オへのコメントがある。自分たちのビデオに対するコメントに、子どもたちの 顔も笑顔になる。

 先日の交流学習の授業の一コマである。

 今月から私の学級(5年生)は、静岡県の細江町立中川小学校5年生と交流学習を行っている。テーマはりんごとみかんであるということである。どちらも有名な産地がすぐそばにある。水沢市の隣には「江刺りんご」が、細江町の 隣には「三ケ日みかん」がある。インターネットで「日本一のりんご」「日本一 のみかん」で検索すると、どちらも宣伝として関連ホームページに書かれている。
 私は今まで、本格的な交流学習の経験はほとんどない。他地域の学校と手紙 や作品の交流をしたことはあるが、それはとても「交流」と言えるものではない。 単なる「交換」に過ぎない。今回の交流学習は(といっても2週間の取り組みで あるが)、初めての経験なだけにその魅力をストレートに感じることができた。  今回はその交流学習の前段部分についての紹介である。


中川小学校からのビデオレターを視聴する        どんな感想を送るか話し合う    

  まずは教師同士がつながる・交流する
 今回の交流学習で大切だったのは、交流相手である中川小学校の5年生の担任(藤原淳史先生)と知り合いであったということである。学校放送教育番組「お こめ」のプロジェクトでご一緒させていただき、4校で共同学習に取り組んでいる。

 教師同士が連絡を密にとれる環境ができていることが、交流学習の前提であ る。10年近く前、広島県の小学校と子どもたちの作品を交流したことがあっ た。子どもたちのやりとりだけで、担任はその作品をまとめる発送係。ほんの 数回で交流学習(というより作品交換イベント)は終わってしまった。そこに は学習の目的意識も見通しもなかった。教師同士が打ち合わせをしていないの だから当然である。
 藤原先生とは交流学習を始める前に実際にお会いして打ち合わせを行った。 お互いの学校の環境やスケジュールを確認しながら、できること・できないこ とを考える。それだけではなく、研究者・交流学習の実践者を交えたメーリン グリストで交流学習の展開の方法について意見交流をさせていただいた。「何を テーマにするか」「動機づけをどのようにするか」「交流ツールは何にするか」等、交流学習のスタートの前に今回の学習の骨子ができた。(むろんこのメーリ ングリストでは実践中も意見交流をしていただいた。)

この教師同士の交流を通じて、私自身は「このメーリングリスト自体が一つ の学校みたいだな」と思った。同学年の二つの学級の担任が今後の学習につい て打ち合わせをする。それについて周囲の経験者がアドバイスをする。通常の 学校であれば職員室で行われるが、それがネット上に移ったような感じである。 ここでの学びは自分の視野を広げるのに貴重であった。

  目的が明らかになり刺激しあえてこそ、交流も意義がある
 何をテーマにするかが交流学習のポイントの一つになると思う。今回はその点では明確であった。社会の学習の一つとして、「りんごとみかん」をテーマにお互いに調べたことを交流し合い、そこから新しい学びをするというものである。

 このようなテーマが明確になってのメリットは、交流校同士の子どもたちが 「刺激し合える関係になる」という点である。交流そのものを目的にするのな ら、「お互いに仲良くなりましょう」で終わる可能性がある。

 テーマを決め、お互いがそのテーマに向けて学習をしていくのなら、相手は 仲良しだけではなく、学習の競い相手ともなる。現に今回のみかん・りんごビデオ作りの過程では、子どもたちから「いいビ デオを作ります。中川小学校の皆さんもビデオ作りをがんばってください」「ぜ ひ見てください。」と言った書き込みが出されていた。同じ学年、同じ学習に取り組むということで子どもたちも相手校を意識して いることがよくわかる。

  やはり便利・ITツール

 交流のための方法は様々ある。物や作品の交流はもちろん、テレビ会議、ビデオレター、ネット掲示板等。どれも効果的に活用できる方法である。

 今回、よく活用したのは「はじめての共同学習」というサイトである。

「はじめての共同学習」http://is.im.mri.co.jp/~co-study/


 このサイトの掲示板に子どもたちに書き込みをさせて交流するのである。物を交換したときのお礼、学習の進行状況、お互いのビデオレターの感想と時間 を見つけては書き込みをした。相手にすぐに自分たちの思いや考えを伝えるこ とができるという点で便利なツールである。


画像も添付できる掲示板

 この掲示板には画像が添付できるのであるが、相手校の写真を見て私の学級 の子どもたちが驚いていた。「なんで12月なのに半袖でいるんだ・・?」。  見た日は雪が降っていた日。送られてきたりんごを食べる写真には、半袖でい る子が半分ぐらい。改めて、静岡と岩手の気候の違いを実感したようであった。

 この「はじめての共同学習」では、その他にもクイズやアンケートの機能があ る。たくさんある機能のほんの一部しか使っていないが、活用のしがいのある サイトであることは間違いない。

作成者:佐藤正寿

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