小学5年生が国語の時間に「つくつた」教材を使いました!

120123katsura15 仙台市立桂小学校の5年生が国語の時間でつくつた教材を活用しました。担任は小野寺善彦先生。東京書籍の教科書には「伝えよう、委員会活動」という単元があります。単元の内容は委員会の様子を紹介するリーフレットを作成するもの。新しく委員会活動に参加する4年生を対象にしたリーフレットづくりに取り組むことになりました。まさに「つくつた」にうってつけの単元です。

 

 




授業のようす

 120123katsura34拝見した授業は9時間の単元の6時間目。その前の時点で「構成メモ」(どんな情報をのせるか整理したもの)、「レイアウト」(のせたい資料や配置を考えたもの)を考え、リーフレットの下書きまで作成してきています。教室にはホンモノのリーフレットがずらり。教科書の例だけでなく、さまざまなリーフレットを見ながら、工夫の仕方のアイデアを広げて取り組んでいます。ちなみに単元の2時間目にも一度「つくつた」の教材を見せて、工夫の仕方の観点を探させるのに活用されたとのことです。

 







120123katsura07 いよいよ授業に入ります。本時は作成したリーフレットを読み返し、改善点を見つける時間。リーフレットはグループではなく、個人個人で作成しています。小野寺先生は以前の授業でノートにまとめた、つくつた教材の6つの観点を確認した後、ワークシートを配布しました。このワークシートは、上野山小学校の5年生社会科で使用されたものをアレンジしています。ノウハウを共有されている点、嬉しいですね。レーダーチャート型になっていて、自分の作品がSABCのどの段階にあるのか、自己評価します。6つの観点が「つくる」「つたえる」で3つずつなのでちょうど左右にわけていますね。右側には自己評価の理由や改善点を記入する欄があります。







120123katsura08 子どもたちはさっそくグループでつくつたの教材を見ながら自己評価をしていきます。小野寺先生は「C」から見ることを確認してからはじめました。その方が、自分の作品がどこに位置づくのか判断しやすいと考えたとのことです。「情報が増えると子どもはすぐ気付くけど、抜けていくことにはなかなか気付かない」確かにそうですね。大人もある日突然、町中のビルや建物があった場所が更地になっていると何があったのか忘れてしまうもの(ちょっと違う話?)。Cからどう情報が増えたり整理されていくか、確かめやすいように配慮していました。







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 面白いのは、子どもたちの中にはルーブリックの文言を慎重に読み取って自己評価にいかそうとしているグループがあった点です。もちろん、つくつた教材のルーブリックは中学年以上でわかりやすいように吟味しましたが、サンプルをすぐ見に行きがちなところを、言葉にこだわって自己評価しようとしていたのは国語ならではでしょうか。 小野寺先生は机間をまわりながら、「レイアウトで考えていたことも評価にいれていいよ」「サンプルをみるとよくわかるね」「自分で評価するだけでなく、友だちの作品もいっしょに評価しあってみよう」といったことを声かけしながら指導に入っていきます。

 

 








120123katsura24 子どもたちを見ていると、自己評価が終わったところでさっそく修正活動に入ろうとする姿が。つくつた教材からさっそく自分たちの作品を改善するヒントを見つけてくれたようです。何名かのリーフレットをみていると、4つ折りにしていたり、見開き部分を作成するなど、人によって折り方からさまざまです。当然、レイアウトの仕方や表現の工夫もちがってきます。教科書、ホンモノのリーフレット、つくつた教材のサンプルと多様な教材に接する中で、自分なりのこだわりを見つけていったようです。
 
 授業の最後には何名かの児童から「情報が読み手の役に立つようなものまで書いてなかったからつけたしたい」「図や写真をわかりやすいものにしたい」といった感想を聞くことができました。
 




授業者からのコメント

 今日の授業ではグループ活動が中心で,進度も書く内容も一人一人が違う中,つくつたのルーブリックやサンプルの有効性を強く感じました。私自身、教材がある分、安心して個別指導にじっくり時間をあてることができました。ipadがグループに一台ずつあるので,自然と学び合いや相互評価に取り組む様子も見ることができました。教材のルーブリックの文言にはSABCの段階ごとに1つの観点の中にもいくつかの内容が入っています。サンプルや動画を見ることで、着目する点をよりしぼりやすくなるようでした。そういう意味では、サンプルを中心に見たグループとルーブリックの言葉を見ていたグループの自己評価の違いといった点も今後、見ていく必要があると思います。(小野寺善彦・仙台市立桂小学校)。

 


研究者からのコメント

 国語の授業での「つくつた」教材の活用を拝見したのは今回が初めてでした。社会科や生活科、総合的な学習の時間では伝えたい「中身」の学習が中心ですが、国語ではまさに「伝え方」を正面から取り扱います。その分、つくつた教材と教科書の学習内容とのズレが出てきた場合にどうすればよいのか、心配だったのですが、小野寺先生の授業では、6つの観点をそのままリーフレット制作の視点として活用していただきました。また、本物のリーフレットを見せた場面でも、つくつた教材で視点を確認したことで、本物のどこが工夫されているのか価値づけることができたとのことでした。子どもたちはルーブリックの文言をてがかりに、丁寧に作品の「質」を読み解こうとし、それに支えられて自分らしいリーフレットづくりに取り組むことができているようです。(稲垣忠・東北学院大学教養学部)。