「つくつた」教材のちょこっと利用の事例をご紹介します! 使用されたのは2回目の登場、栗原市立岩ケ崎小学校です。今回は5年生の子どもたちが活用しました(授業者は遠藤麻由美先生)。国語で写真を選び、スピーチをする「わたしのとっておきの一枚」の単元です。なお、この1つ前の単元「伝えよう、委員会活動」ではリーフレットづくりに取り組んでいます(桂小で小野寺先生が実践した事例を本サイトでは紹介しています)。今回はスピーチの練習場面に、つくつた教材のプレゼン「話し方」のみを使用するというピンポイント利用でした。
■授業のようす
導入では「印象に残るスピーチ」をするためにはどんなことがポイントだったのかを子どもたちと振り返りました。相手の目を見る、はっきり話す、表情、動作、声の大きさ、間のあけ方など、さまざまなポイントが子どもたちから出てきます。ここで、つくつた教材のプレゼン「話し方」のルーブリックを示します。ルーブリックには、話す速さやアイコンタクトなど、すべてのポイントではありませんが、そのいくつかが紹介されています。SABCの意味を確かめたあと、さっそく、iPadで話し方の教材を見てみることにしました。遠藤先生は「C」から見ることでちがいに気付きやすくするように指示しています。
子どもたちははじめ「C」を見ると、暗い声でぼそぼそ話しているサンプルを見て「なんだかわからないなぁ」といった問題点に気付きます。B,A,Sと順に見ていくことで、どのような話し方が適切なのかだんだん気付いてきたようです。
次に、前の時間に自分たちのスピーチをiPadで録画したビデオを再生して、自己評価していきます。「表情」「写真のタイミング」「間の取り方」「話す長さ」「話す速さ」の5つの観点それぞれにSABCをつけていきます。ここではルーブリックのように細かい評価基準は示していませんが、つくつた教材で「レベル感」をつかんでいるので、すんなり自己評価できていたようです。グループで自分のスピーチの録画を見るのを恥ずかしがる場面もありましたが、ワークシートに記入しながら、お互いの良かったところや改善点を出し合っていました。改善点はワークシートにまとめ、クラスで共有しました。
■授業者からのコメント
今回は前単元でつくつた教材を使っていたので、子どもたちもすんなり使うことができました。プレゼンの「話し方」だけというほんの一部使うという方法は、前に使っていなかったらやらなかったかもしれません。スピーチ=プレゼンテーションではありませんが、話し方のサンプルとして動画が見られるのがよかったですね。また、教材には無い、写真を見せるタイミングや話し方の細かい部分はワークシートで自己評価させてみました。iPadで手軽にビデオ撮影ができ、その場で大きな画面で確かめることもできるので、改善点に簡単に気付かせることができました(遠藤麻由美・栗原市立岩ヶ崎小学校)。
■研究者からのコメント
とてもピンポイントでつくつた教材を活用された事例です。国語で「話し方」を指導することを考えると、声の大きさ、話し方、アイコンタクト、さまざまな観点があり、つくつた教材1つでカバーできる範囲は限られています。遠藤先生はつくつた教材のサンプル動画を子どもたちが見ることで、話し方のモデルをつかませていました。一方で、指導すべき観点は基準を文章化までしなくとも、ワークシートで観点を示すだけで、どこをどう直したら良いか、子どもたちは気付いていたようです。ルーブリックは具体的な基準を示すことで、子どもたちに「次の一歩」をつかませる役割がありますが、話し方のように「気付きやすい」活動であればそこまでしなくとも、「良い話し方」「イマイチな話し方」のイメージをもつだけでも十分、見直すことができるようでした(稲垣忠・東北学院大学教養学部)。