情報活用能力をカリマネしよう

目次

1.カリキュラム・マネジメントとは?

新学習指導要領において「情報活用能力」は、「学習の基盤となる資質・能力」のひとつとして、教科横断的に育成することが示されました。中学校では技術・家庭科の情報領域、高等学校でいえば情報科など、情報活用能力の育成を主たる目的とした教科や領域はあります。その一方で、すべての学習を支える基盤となる力という定義に立ち返ると、さまざまな教科・領域を横断的にとらえ、育成していくことが求められます。カリキュラム・マネジメントは一般に以下の3つの側面があります。

1)各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。

2)教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。

3)教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。

情報活用能力を教科・領域を横断して育成するには、1)の観点からカリキュラムを検討することからはじめます。

2.情報活用能力のモデル・カリキュラム

文部科学省の「次世代の教育情報化推進事業 情報教育の推進等に関する調査研究」では、情報活用能力の体系表例が示されました。小学校から中学校まで、さまざまな目標が情報活用能力に含まれていることが分かります。

文部科学省の関連ページ:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1400796.htm

仙台市教育センターでは、情報活用能力のモデル・カリキュラムを開発しています。情報活用能力を「活動スキル」「探究スキル」「プログラミング」「情報モラル」の4領域を設定し、どのような教科・単元で実施できるか一覧に示されています(平成31年3月に小学校のVer2と中学校版が公開されました!)。詳しくはこちらのサイトからご覧ください。

仙台市教育センターの関連ページ:http://www.sendai-c.ed.jp/04kenkyu/kenkyu.html

仙台市の4領域には、30の項目がリストアップされています。小学校下学年・上学年・中学校の3つの段階で体系表が作成されています。

活動スキル探究スキルプログラミング情報モラル
A1記録と編集B1取捨選択C1物事の分解D1コミュニケーション
A2PCの操作B2読み取りC2情報の分類D2法と権利
A3ウェブ検索B3創造C3情報の関係付けD3健康と安全
A4図書利用B4伝達内容の構成C4問題解決の手順D4ルール・マナー
A5インタビューB5表現の工夫C5試行錯誤D5セキュリティ
A6アンケートB6受け手の意識C6データの傾向D6個人情報
A7メモB7学習計画C7情報技術の将来D7情報社会の将来
A8口頭発表B8評価と改善

これに高校を加えたオリジナルバージョンを作成してみました。2019年現在、宮城県総合教育センターと連携しながら高校版の作成も進めています。

3.カリマネ・カードの開発

カリマネカード

教科を横断して、さまざまな領域で情報活用能力を育成するには、どの教科、どの単元で情報活用能力のどんな側面を育成できるのかを検討し、年間を通して育成していく必要があります。そしてそれは学年進行によってどう積み上がっていくのか系統性を見通していくことで、体系的な育成が実現します。

とはいえ、さまざまな目標がある中で、関連する教科、単元を洗い出すのは容易ではありません。そこで、仙台市のモデルカリキュラムをベースにしたカードを開発しました。仙台市の4領域では合計30の目標があります。年間指導計画をみながらカードを配置していくことで、どの力をどこで育成できるのか分かります。カード裏面には2段階の学習目標を設定しています。「この単元ではこの目標のレベル1かな?」といった感じでレベルを表面に書き込むとよいでしょう。

仙台市教育センターの開発した30の目標をカード化し、レベル1(小学校下学年)とレベル2(小学校上学年)、レベル2とレベル3(中学校)をそれぞれ裏面に記載したカリマネカードを作成しました。

このカードは44面のマルチカード用紙に対応しています。ミシン目で簡単に切り離すことができます。

マルチカード 各種プリンタ兼用紙 白無地 A4判 44面 小さいサイズ

ぜひ、校内研修等で活用してみてください。「やってみました!」という報告もぜひお知らせいただければ幸いです。