12月17日、宮城教育大にて開催された「情報活用型授業を深める会」にて、つくつた教材を活用した実践の報告と、参加者による活用アイデアづくりのワークショップを実施しました!仙台・宮城の先生方にとって、「つくつた」教材の評判はいかに・・・。そしてどんな活用アイデアがでてきたでしょうか?
「情報活用型授業を深める会」は、宮城県・仙台市の先生方を中心とした勉強会です。東北大・宮城教育大・東北学院大の教員・学生も関わりながら、子どもたちの情報活用を大事にした授業づくりについてワークショップ形式でワイワイ取り組んでいます(研究会のWebサイト)。当日の参加者は31名。
まず最初に実践報告いただいたのは栗原市立岩ケ崎小の遠藤麻由美先生と仙台市立上野山小の尾張有香先生。以下の実践をご報告いただきました。
■ワークショップでの授業デザインのポイント
ワークショップでは、つくつた教材を使った単元計画づくりに取り組みました。各グループに2台ずつiPadを配布。まずはつくつた教材に実際にアクセスしていただいてどんな教材なのか体験してもらいました。その後、持ち寄った国語や社会科の教科書を見ながら、どの単元で、どのような活用ができるか話し合います。話し合う際には、次の3つのポイントを意識していただきました。結果は画用紙にまとめました。
- 単元のどこで使うか?:単元の前・中・後のいつ使うか?何回使うか?
- 子どもに何をどう見せるか?
- 全部見せる・一部見せる・子どもが選ぶ
- モデルの提示・自己評価に使う・相互評価に使う
- ルーブリックの文を使う・サンプルを使う・解説ムービーを使う
- 教科のねらいとの関係は?:ねらいと一致する・一部重なっている・別途でも使える
■先生方が考えた活用プラン
できあがったプランはiPadで撮影してAppleTVを介してデジタルテレビへ。手元で拡大しながらプレゼンしていただきました。教材の見せ方、使い方もさまざま。すぐにでも使ってみたい!という声もたくさんいただきました。報告されたプランは次の8種類。すべて違う単元だったことにもビックリです。
- 3年社会「学校のまわり」<プレゼン>
- たんけん前に見せてプレゼンのイメージをつかませる、「見出し」ち「写真」に着目して自己評価、発表前に「話し方・質問」と3回活用するイメージでした。初めてのプレゼンに使えそうですね。
- 4年社会「じょう水場の見学」<新聞>
- 単元のまとめの場面で、新聞づくりを途中までしたところで作品の自己評価に用います。
- 4年社会「わたしたちの県」<新聞・リーフレット>
- 県じまんパンフレットをつくるために、新聞の『取材』部分とリーフレットの教材を使っています。実は新聞のみ、情報収集場面が入ってるので、そこをうまく活用していただいたパターンです。
- 4年国語「新聞をつくろう」+社会「わたしたちの県」<新聞>
- 2つの教科を合わせた提案です。交流相手に自分たちの県の様子を伝える新聞をつくります。下書きの段階でつくつた教材を見せ、仕上げます。社会科としてのねらい(自分たちの地域の理解)と国語のねらい(わかりやすく伝える記事)の合わせ技です。
- 5年国語:大造じいさんとガン<リーフレット>
- 本の帯をつくるためにリーフレットをモデルとします。『情報』のAレベルを見せてどこをどう工夫するとよいのか考えます。Sでは含んでいる事柄が多いのでAでイメージを共有するという工夫です。また、本の帯とリーフレットでは作り方にちがいもあるので、『デザイン』以外を使うという提案もありました。
- 5年国語「わたしのとっておきの一枚」<プレゼン>
- スピーチを振り返る場面で録画した自分のプレゼンと、つくつたの「話し方」を照らし合わせて自己評価します。聞き手もつくつたのルーブリックを使って相互評価するそうです。
- 6年社会:天皇中心の国づくり<新聞>
- 単元のまとめで新聞づくりをするところで使います。修正前に教材を全部見て自己評価する4年社会科と近いパターンです。
- 6年国語「ふるさとの良さを紹介しよう」<すべて>
- 6年生なのですべて経験済みという設定(!)。自由に見せてどの表現形式でまとめたいか選ぶところから。情報収集、構成を考える段階でも随時参照しますが基本的には子どもたちが必要に応じて使います。国語として伝えたいことをしぼる、書き出し、理由といったところを教師は指導し、相互評価シートもこの観点+つくつたで。
■ワークショップをふりかえって
最後に「情報活用型授業」の視点から振り返ってみましょう。子どもたちの情報活用を教科に取り入れるには、情報を調べたり、複数の情報から比較検討したり、つくつた教材のように何か制作物をつくったりといった学習活動を組み込むことになります。そのためには、単元レベルで学習活動をデザインし、教師が「教える」部分と、子どもたちが「試行錯誤する」隙間を区別しておく必要があります。つくつた教材では、さまざまなレベルのサンプルやポイントの解説を見ることができますが、「こうしなさい」と直接子どもの作品に対して指導はしません。だからこそ、教材を見ながら自分たちの作品を振り返ったり、どうしたらより良くなるか考える、そういった場面が自然と組み込まれます。一方で教師は、教科のねらいに集中して子どもたちの活動に助言を与えることができます。つくつた教材と単元のねらいが近い場合は、教材を子どもたちが読み取る中でその大切さに気付かせることもできます。今回のワークショップで提案されたさまざまな提案は、それぞれが教科のねらいと教材の距離感を表しているとも言えます。2011年度のつくつたプロジェクトはまだまだ続きますが、希望される先生方に少しでも使っていただけるようにサポートしていきたいと思います。参加された先生方、ありがとうございました!